介護が必要な団塊世代の多くが、在宅医療を望んでいます。
その一方で、現時点ではまだ不自由がなく、そんな必要は無いと思っている団塊世代も多くいますが、長い先行きを考えれば、どうしても備えは必要です。
将来的に自宅で最期を迎えたいと考えている人はなおさら、住環境の準備は必要でしょう。
在宅医療は、自宅に医師が訪問し診察をするだけではありません。
介護士や家族が介護にあたることをあらかじめ想定した造りにしておかなければなりません。
自宅のリフォーム、あるいは在宅医療にふさわしい住環境を備えた終の住まいを設計するには、相応の時間がかかるので、まだ元気なうちに準備をしておくことが望ましいでしょう。
在宅医療の観点で自宅をリフォームする場合、介護を受ける団塊世代とその家族、そして訪問する医師や介護士の3つの視点で住環境を見ることが大切です。
まず、介護を受ける団塊世代は、住み慣れた家で、家族が常に側にいる環境で介護・医療を受けたいという要望があります。
家族も、最期まで自宅で見届けてあげたいという思いはあることでしょう。
しかし、介護には現在の住宅のドア幅では入らない大型の医療機器が必要になったり、ただベッドから下ろすだけでかなりの体力が必要だったりという現実を前にすると、躊躇してしまいがちです。
訪問介護士の立場から見ても、専門的な介護をメインで行うことになりますから、在宅医療をしやすい住環境を整えてほしいという要望は切実なものでしょう。
常に家族がそばにいる環境で介護・医療を受けたいという思いは、基本となる住環境が整っていなければ成し得ないことなのです。
現在建設される家の多くは、ファミリー層などの核家族に向けた狭い家です。
しかし、在宅医療に必要なのは、介護者と被介護者の双方が動きやすく負担のない環境です。
団塊世代の人は今、人生の最期を見据えた終の住まいの計画を立てる時期にあるのではないでしょうか。
Copyright (C) MASAYUKI TSUBOTA ARCHITECTS. All rights reserved.