膠(にかわ)を使った接着剤のメリット・デメリット
≪膠(にかわ)とその種類≫
膠(にかわ)とは、牛や豚など動物の皮や骨などの結合組織を加熱して抽出した液状の物質で、
主成分は蛋白質の一種である膠原(こうげん)繊維のコラーゲンです。
日本で生産され流通している膠には、和膠と洋膠があります。
和膠は手工業的な製法で製造されるので、精製度は低く、
洋膠は機械を使っており精製度が高いのが特徴です。
但し、精製度が低いから品質が悪いということではなく、それぞれに合った用途があります。
和膠は洋膠よりも不純物が多いため臭いも強いのですが、接着力が強いのが特徴です。
一方、洋膠の一種であるゼラチンは、純度が高いため無味無臭です。
ゼラチンはゼリーなどの食品原料でも非常に有名ですが、医薬品や工業製品などに幅広く利用されています。
≪古くから接着剤として使われている膠≫
膠の歴史は古く、紀元前5000年頃から接着剤などに使われていました。
膠は加熱すると柔らかくなり、常温になると固まりやすいという性質があり、
さらに湿度や温度が変化しても伸縮やひずみが出にくいため、建築用の接着剤としてよく使われています。
和膠は吸湿性や保水性に富んでいることから、高級家具や楽器、美術品や工芸品などの製造にも使用されています。
≪膠(にかわ)を使った接着剤のメリット・デメリット≫
上記のように、膠は現在でも建築用の接着剤として使用されていますが、
なかでも有害な化学物質を含んでいないという大きなメリットがあります。
建築用接着剤として普及している木工用ボンドには、人体に有害な化学物質ホルムアルデヒドが含まれており、
シックハウス症候群を引き起こす可能性があります。
一方、100%自然素材の膠を接着剤にして建てられた住まいは、安全で空気も清浄です。
このように身体にやさしい接着剤は膠を置いて他にないと言っても良いのです。
唯一のデメリットがあるとすれば、膠独特の臭いですが、
自然素材なので頭が痛くなるような性質のものではありません。